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「かう云ふ人工の翼を太陽の光りに焼かれた為にとうとう海へ落ちて死んだ昔の希臘人も忘れたやうに」

Page Type Example
Example ID a1981
Author 芥川龍之介
Piece 「或阿呆の一生」
Reference 『芥川龍之介』
Pages in Reference 413

Text

彼はこの人工の翼をひろげ、易やすと空へ舞ひ上つた。同時に又理智の光を浴びた人生の歓びや悲しみは彼の目の下へ沈んで行つた。彼は見すぼらしい町々の上へ反語や微笑を落しながら、遮るもののない空中をまつ直に太陽へ登つて行つた。丁度かう云ふ人工の翼を太陽の光りに焼かれた為にとうとう海へ落ちて死んだ昔の希臘(ギリシア)人も忘れたやうに。

Context Focus Standard Context
かう云ふ人工の翼を太陽の光りに焼かれた為にとうとう海へ落ちて死んだ昔の希臘(ギリシア)人 (イカロス) も忘れたやうに

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 ギリシア人 > イカロス ケルト人>浦島太郎

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
暗示引用 (allusion) イカロスは、ギリシア神話に登場する人物の1人で、蝋で固めた翼によって自由自在に飛翔する能力を得るが、太陽に接近し過ぎたことで蝋が溶けて翼がなくなり、墜落して死を迎えた。このイカロスの物語を引き合いに出している。
評価 (evaluation) イカロスの物語を引き合いに出すことで、「彼」の傲慢さを批判している。