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「せっかくの長老の言葉も古い比喩のように聞こえた」

Page Type Example
Example ID a1957
Author 芥川龍之介
Piece 「河童」
Reference 『芥川龍之介』
Pages in Reference 374

Text

『御案内と申しても、何もお役に立つことはできません。我々信徒の礼拝するのは正面の祭壇にある『生命の樹』です。『生命の樹』にはごらんのとおり、金と緑との果がなっています。あの金の果を『善の果(み)』と言い、あの緑の果を『悪の果(み)』と言います。……』 僕はこういう説明のうちにもう退屈を感じ出しました。それはせっかくの長老の言葉も古い比喩のように聞こえたからです。

Context Focus Standard Context
古い比喩 長老の言葉

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 比喩 = 言葉 言葉=譬喩・比喩

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A 聞こえた も-既知のものと同様(副詞的修飾語)
2 B の[ように聞こえた] の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
3 B [の]ように[聞こえた] 様-類似-連用形
4 B [のように]聞こえ[た] 判ずる・判じる(はんずる・はんじる)
5 B [のように聞こえ]た た-過去-終止形

Pragmatics

Category Effect
評価 (evaluation) 何回も説明することで自分たちの信仰対象である生命の樹になっている果実が実際上のものではなく、言葉の上でしか成り立たない空論ではないかという手ごたえなく感じていることを提示する。