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「風流を盛るべき器(うつわ)が無作法(ぶさほう)な十七字」

Page Type Example
Example ID a1891
Author 夏目漱石
Piece 「思い出すことなど」
Reference 『夏目漱石』
Pages in Reference 361–2

Text

風流を盛るべき器(うつわ)が、無作法(ぶさほう)な十七字と、佶屈(きっくつ)な漢字以外に日本で発明されたらいざ知らず、さもなければ、余はかかる時、かかる場合に臨んで、いつでもその無作法とその佶屈とを忍んで、風流を這裏(しゃり)に楽しんで悔いざるものである。そうして日本に他の恰好(かっこう)な詩形のないのを憾(うら)みとはけっして思わないものである。

Context Focus Standard Context
風流を 盛るべき器 (表現する形式)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = 言語 言葉=器
2 盛る = 表現する 表す=盛る

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
擬物法・結晶法 (hypostatization) 川柳の十七字という定型を器に見立てることで、その型に沿って表現される様々な情景や感情に、器に盛られる料理と同様の味や舌触りといった性質を付与する。
アナロジー・類推 (analogy) 表現者の観察や心情は定められた型に合わせながら選ばれ工夫されるものである、ということを示唆する。