目次

「蒼い波が蘇枋の色に湧き返る」

Page Type Example
Example ID a1874
Author 夏目漱石
Piece 「夢十夜」
Reference 『夏目漱石』
Pages in Reference 336

Text

ただ波の底から焼火箸(やけひばし)のような太陽が出る。それが高い帆柱の真上まで来てしばらく挂(かか)っているかと思うと、いつの間にか大きな船を追い越して、先へ行ってしまう。そうして、しまいには焼火箸(やけひばし)のようにじゅっといってまた波の底に沈んで行く。そのたんびに蒼(あお)い波が遠くの向うで、蘇枋(すおう)の色に沸(わ)き返る

Context Focus Standard Context
波が…蘇芳の色に 湧き返る (赤くなる)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 沸く = 光る 光る=沸く

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 水が沸騰するイメージを喚起し、その泡の様子を遠方の波に付与する。
アナロジー・類推 (analogy) 太陽の光を浴びて蘇枋色に染まっていることと相まって、あたかも海の温度が上がって実際に沸騰しているかのような印象を与える。
寓意・アレゴリー (allegory) 先行する「焼火箸」に緩やかに連なる表現。