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「木彫の猫のように眼も動かさない」

Page Type Example
Example ID a1854
Author 夏目漱石
Piece 「吾輩は猫である」
Reference 『夏目漱石』
Pages in Reference 308

Text

チーン南無猫誉信女南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏と今度は下女の声がする。吾輩は急に動悸(どうき)がして来た。座蒲団の上に立ったまま、木彫(きぼり)の猫のように眼も動かさない。

Context Focus Standard Context
木彫りの猫 ()

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 木彫り = マングース=刻み

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Source
B Target
C Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A の[ように] Cない の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
2 A [の]ように Cない 様-類似-連用形
3 B Cない も-含蓄的に提示(客語・対象語)
4 C ない ない(ない)

Pragmatics

Category Effect
誇張法 (hyperbole) 木彫りの猫という非生物になぞらえることで、体が全く動かない様に際立ちを与える。
対照法・対照 (antithesis) 動悸を感じる「吾輩」と微動だにしない「三毛」との間にコントラストを生む。
心理描写 (psychological-description) 急な動悸を感じる「吾輩」と微動だにない「三毛」との間にコントラストをうみ、「三毛」が亡くなったことに気づいた「吾輩」の動揺を身体的な感覚で表す。
人物描写 (description of a character) 木彫りの猫という非生物になぞらえることで、座布団の上の「三毛」の様子を描く。