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「胃の中からげーと云う者が吶喊して出てくる」

Page Type Example
Example ID a1850
Author 夏目漱石
Piece 「吾輩は猫である」
Reference 『夏目漱石』
Pages in Reference 304

Text

すると四時十五分前頃から、今まで何とも無かったのに、急に嘔気(はきけ)を催(もよお)して来た。細君は水薬を茶碗へ注いで僕の前へ置いてくれたから、茶碗を取り上げて飲もうとすると、胃の中からげーと云う者が吶喊(とっかん)して出てくる。やむをえず茶碗を下へ置く。

Context Focus Standard Context
げー () と云う者が吶喊(とっかん)して出てくる

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 人間 = 胃液 体液=人間

Grammar

Construction Aという者
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A と[いう者] と-内容指定
2 A [と]いう[者] 言う(いう)
3 A [という]者 人間(にんげん)

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) げっぷ、胃液が出ることを表すと同時に「吶喊(とっかん)して」という表現から、実際に「げー」という声を発しながら出てくる擬人化された胃の内容物のイメージが想起される。
直接話法・明示引用 (direct narration) 嘔吐を表す典型的な発話が用いられている。
ユーモア (humour) 胃から迫り上がってくる吐瀉物を擬人化することで、滑稽で戯画的な印象を与える。