目次

「石鹸で磨き上げた皮膚がぴかついて」

Page Type Example
Example ID a1848
Author 夏目漱石
Piece 「吾輩は猫である」
Reference 『夏目漱石』
Pages in Reference 303

Text

妻君は命ぜられた通り風呂場へ行って両肌(もろはだ)を脱いで御化粧をして、箪笥(たんす)から着物を出して着換える。自分の妻(さい)を褒ほめるのはおかしいようであるが、僕はこの時ほど細君を美しいと思った事はなかった。もろ肌を脱いで石鹸で磨き上げた皮膚がぴかついて黒縮緬(くろちりめん)の羽織と反映している。その顔が石鹸と摂津大掾(せっつだいじょう)を聞こうと云う希望との二つで、有形無形の両方面から輝やいて見える。

Context Focus Standard Context
皮膚が ぴかついて (綺麗になって)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 ぴかぴか > きれい つやつや>清い

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
迫真法・活写法・現前化 (hypotyposis) 光を表すオノマトペを用いることで、当該人物の目に見えた妻の肌の美しさを見たままに直接表現しているような印象を与える。
違反用法・語法違反 (solecism) 「いらつく」「ぱくつく」のような、オノマトペの一部を動詞化する「Xつく」を拡張的に用いている。
イメジャリー・イメージ (imagery) 石鹸で磨き上げられた皮膚が、あたかも鏡や金属のように強く光を反射しているかのような印象を与える。
過大誇張 (auxesis) 石鹸で磨き上げられた皮膚があたかも鏡や金属のように強く光を反射している、という極端な印象を受けるほど、皮膚が極めて滑らかで美しいことが示唆される。