目次

「悠々風のごとくに去来していた」

Page Type Example
Example ID a1827
Author 坂口安吾
Piece 「湯の町エレジー」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 373-374

Text

泥棒とは云っても彼ぐらいの智能犯になると、兇器などというものは所持してもいないし、使ったこともない。温泉旅館というものの宴会、酔っ払い、混雑という性格を見ぬき、万人の盲点をついて、悠々のごとくに去来していたにすぎない。

Context Focus Standard Context
(泥棒)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = 泥棒 賊=風

Grammar

Construction A-BのごとくにC
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Elaboration
B Source
C Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A - B 統語関係
2 B の[ごとくに] C の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
3 B [の]ごとく[に] C ごとし-類似-連用形
4 B [のごとく]に C だ-断定・指定-連用形

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 風という実体のない事象に泥棒をなぞらえることで、人々の目をかいくぐって誰にも気付かれずに盗みを働いたことを表現する。
誇張法 (hyperbole) 風になぞらえることで、盗みをはたらくときの素早さや存在感の薄さを強調する。