目次

「精神的にも一介の放浪者にすぎんです」

Page Type Example
Example ID a1809
Author 坂口安吾
Piece 「金銭無情」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 318-319

Text

『富子さん、何か言って下さい。最上先生、誤解ですよ。僕は恋愛でも浮気でもないんです。ただそこはかとなく一つの気分に親しんでいるだけなんで、僕はつまり精神的にも一介の放浪者にすぎんですから』

Context Focus Standard Context
精神的にも 放浪者 (定まった状態が無い) にすぎんです

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 放浪者 = 不安定 安定=宿なし

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 行く当てもなくフラフラとさまよう放浪者のイメージを喚起し、「僕」の気分や心持ちがとりとめなく移り変わる不安定さをもっているという印象を与える。
人物描写 (description of a character) 「僕」自身の精神について、放浪者のイメージを引き合いに出すことでその性質を説明している。
アナロジー・類推 (analogy) 行く当てもなくフラフラとさまよう放浪者に取り立てて意図がないのと同じように、「僕」にも特に悪意があるわけではなく、ただ単に気分や心持ちが移り変わっているだけであるということを示唆する。