「『あら、瀬戸さんは音楽学校をでたんじゃないの?』(…) まったくこの男は自慢ということをやらぬから相当つきあっても学歴など知らなかったので、この時は富子がアッと驚いた。そこでもうこの飲んだくれとカケオチしようか、地獄へ落ちても、あとは野となれ山となれ、一思いに、にわかに富子はそんな気持にもなったが、同時に又、するとうちの宿六はやつぱり偉いのかな、そういえばこの放浪者よりはどこかしら自信があるように思われる。」
Context | Focus | Standard | Context |
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この | 放浪者 | (瀬戸) | よりは…自信がある |
Category | |
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1 | 提喩・シネクドキ (synecdoche) |
2 | 評価 (evaluation) |
3 | 対照法・対照 (antithesis) |
4 | 心理描写 (psychological-description) |
Construction | |
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Mapping Type |
Lexical Slots | Conceptual Domain |
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Preceding | Morpheme | Following | Usage |
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Category | Effect |
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評価 (evaluation) | 富子が瀬戸のことを「放浪者」という低い地位のものとして認識していることが伝わる。 |
対照法・対照 (antithesis) | 瀬戸の「音楽学校を卒業した」という過去の経歴と、「放浪者」のような現在の状態との間にコントラストを生む。 |
心理描写 (psychological-description) | 現在の姿からは想像のつかない瀬戸の経歴を知った富子が、亭主である宿六に対する評価について逡巡する様子を描いている。 |