目次

「高射砲の無数の破片の落下の音のような音が無限に連続している」

Page Type Example
Example ID a1752
Author 坂口安吾
Piece 「白痴」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 281

Text

岩を洗う怒濤の無限の音のような、屋根を打つ高射砲の無数の破片の無限の落下の音のような、休止と高低の何もないザアザアという無気味な音が無限に連続しているのだが、それが府道を流れている避難民達の一かたまりの跫音(あしおと)なのだ。

Context Focus Standard Context
屋根を打つ高射砲の無数の破片の無限の落下の音 (跫音)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 高射砲 = 避難民 移民=砲

Grammar

Construction AのようなB
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Source
B Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A の[ような] B の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
2 A [の]ような B 様-類似-連体形

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 高射砲の破片が屋根を打ち続けるという連続的かつ音量大である事象を引き合いに出すことで、避難民の大群の足音が明瞭に聞こえ、かつ途切れることなく続いている様子を具体的に想起させる。
描写 (description) 高射砲の弾が連続的に炸裂する音になぞらえることことで、当該話者の耳にき終えた音がどのようなものであったのかを描いている。
評価 (evaluation) 物体的に避難民を表現することで、「流れている」「ひとかたまり」などと同様に、住居や家族を失った人々の非人間性を浮かび上がらせる。
列挙法・列挙・列叙 (enumeration) 避難民の足音がどのようなものであるかを描くために、それと類似している音を複数挙げている。