目次

「岩を洗う怒濤の無限の音のような音が無限に連続している」

Page Type Example
Example ID a1751
Author 坂口安吾
Piece 「白痴」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 281

Text

岩を洗う怒濤の無限の音のような、屋根を打つ高射砲の無数の破片の無限の落下の音のような、休止と高低の何もないザアザアという無気味な音が無限に連続しているのだが、それが府道を流れている避難民達の一かたまりの跫音(あしおと)なのだ。

Context Focus Standard Context
岩を洗う怒濤の無限の音 (跫音)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 怒濤 = 足音 物音=大波

Grammar

Construction AのようなB
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Source
B Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A の[ような] B の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
2 A [の]ような B 様-類似-連体形

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 打ち寄せる怒濤という強い威力を有したものが繰り返し岩にぶつかる音に比することで、避難している人々の足音が塊となって聞こえ、非常に大きい音であり、かつ断続的に聞こえていることを、具体的に想起させる。
描写 (description) 繰り返し打ち寄せる怒涛の音になぞらえることで、当該話者の耳にき終えた音がどのようなものであったのかを描いている。
列挙法・列挙・列叙 (enumeration) 避難民の足音がどのようなものであるかを描くために、それと類似している音を複数挙げている。