目次

「焼夷弾と爆弾では凄みにおいて青大将と蝮(まむし)ぐらいの相違があり」

Page Type Example
Example ID a1715
Author 坂口安吾
Piece 「白痴」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 271-272

Text

同じように落ちてくる爆弾でも焼夷弾と爆弾では凄みにおいて青大将と蝮(まむし)ぐらいの相違があり、焼夷弾にはガラガラという特別不気味な音響が仕掛けてあっても地上の爆発音がないのだから音は頭上でスウと消え失せ、竜頭蛇尾とはこのことで、蛇尾どころか全然尻尾がなくなるのだから、決定的な恐怖感に欠けている。

Context Focus Standard Context
青大将と蝮 (焼夷弾と爆弾)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 青大将 = 焼夷弾 焼夷弾=爬虫類
2 = 爆弾 爆弾=爬虫類

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Target
C Source
D Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A B と-相手・共同者を必要とする動作の共同者
2 AとB で[は] 相違がある て-並列・列叙
3 AとB [で]は 相違がある は-接続詞の強調
4 C D と-相手・共同者を必要とする動作の共同者
5 CとD ぐらい[の相違がある] くらい-比較の基準
6 CとD [ぐらい]の[相違がある] の-形容動詞の連体形語尾に準ずる用法
7 CとD [ぐらいの]相違[がある] 相違(そうい)
8 CとD [ぐらいの相違]が[ある] が-主語
9 CとD [ぐらいの相違が]ある ある(ある)

Pragmatics

Category Effect
明晰 (clarity) 同じ投下爆弾であっても、焼夷弾と普通の爆弾では人々の心に喚起する恐怖や恐れが全くことなることを、同じ蛇である青大将とマムシの体長の違いを引き合いに出すことで、理解しやすい形で表現する。
アナロジー・類推 (analogy) 同じ蛇である青大将とマムシの体長の違いを引き合いに出すことで、焼夷弾と普通の爆弾の違いを把握させる。
対照法・対照 (antithesis) 青大将とマムシの体長差をもとに、焼夷弾と通常の爆弾の威力の隔たりを示している。