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「無数の袋小路をうろつき廻る呟き」

Page Type Example
Example ID a1652
Author 坂口安吾
Piece 「白痴」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 258-259

Text

跣足(はだし)で外を歩きまわって這入ってきたから部屋を泥でよごした、ごめんなさいね、という意味も言ったけれども、あれこれ無数の袋小路をうろつき廻る呟きの中から意味をまとめて判断するので、ごめんなさいね、がどの道に連絡しているのだか決定的な判断はできないのだった。

Context Focus Standard Context
袋小路をうろつき廻る () 呟き

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 袋小路 = 逡巡 躊躇=街路
2 うろつく = 言う 言う=ほっつく

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 同じところを行きつ戻りつしているだけで袋小路から一向に抜け出せない様子になぞらえることで、「ごめんなさいね」という謝罪のことばがどの行為を念頭に発せられたものであるのかについて思いを巡らせるなかで、同じ事柄について何度も繰り返し逡巡しているという印象を与える。
アナロジー・類推 (analogy) 袋小路のをうろつき回る行為になぞらえることで、「ごめんなさいね」ということばの意味を考える行為の不毛さが示唆される。
擬物法・結晶法 (hypostatization) 「ごめんなさいね」ということばの意味という主題そのものに、袋小路と同様の空間的な閉塞感が感じられる。