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「蒼ざめた紙のごとく退屈無限の映画がつくられ」

Page Type Example
Example ID a1649
Author 坂口安吾
Piece 「白痴」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 257

Text

底知れぬ退屈を植えつける奇妙な映画が次々と作られ、生フィルムは欠乏し、動くカメラは少なくなり、芸術家達の情熱は白熱的に狂躁し『神風特攻隊』『本土決戦』『ああ桜は散りぬ』何ものかに憑かれたごとく彼等の詩情は興奮している。そして蒼ざめた紙のごとく退屈無限の映画がつくられ、明日の東京は廃墟になろうとしていた。

Context Focus Standard Context
蒼ざめた紙 (映画)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = 映画 映画=紙

Grammar

Construction AのごとくBのC
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Source
B Elaboration
C Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A の[ごとく] B の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
2 A [の]ごとく B ごとし-類似-連用形
3 B C の-性質・性格・状態

Pragmatics

Category Effect
誇張法 (hyperbole) 何も書かれていない白紙になぞらえることで、当時の様々な映像を流していても動作が貧困でテーマ的にも戦争賛美一色であることの無内容さに際立ちを与える。
イメジャリー・イメージ (imagery) 戦争賛美一色で無内容な映画を見た人が、蒼ざめているように見えるほど無表情になる、という印象を与える。