目次

「裏側の人生にいくらか知識はある」

Page Type Example
Example ID a1632
Author 坂口安吾
Piece 「白痴」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 248-249

Text

伊沢は大学を卒業すると新聞記者になり、つづいて文化映画の演出家(まだ見習いで単独演出したことはない)になった男で、二十七の年齢にくらべれば裏側の人生にいくらか知識はある筈で、政治家、軍人、実業家、芸人などの内幕に多少の消息は心得ていたが、場末の小工場とアパートにとりかこまれた商店街の生態がこんなものだとは想像もしていなかった。

Context Focus Standard Context
裏側 () の人生

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 裏側 = 内情 内幕=こちら側

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
アナロジー・類推 (analogy) 「表側」は光があたり、一般人の目に映る世界であるのに対して、「裏側」は光が当たらず、一般には見えにくく、知られていない世界であることが含意される。
対照法・対照 (antithesis) 価値の対照性を、可視性の対照性によって示している。
人物描写 (description of a character) 人生の暗い側面についての知識があるという特徴によって、「伊沢」の人となりを描いている。