「行く者、帰る者、罹災者達の蜿蜿(えんえん)たる流れがまことにただ無心の流れのごとくに死体をすりぬけて行き交い、路上の鮮血にも気づく者すら居らず、たまさか気づく者があっても、捨てられた紙屑を見るほどの関心しか示さない。」
Context | Focus | Standard | Context |
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捨てられた紙屑を見る | (路上の鮮血に気づく) |
Construction | Aても、Bほどの関心しかC |
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Mapping Type | 概念メタファー |
Lexical Slots | Conceptual Domain |
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A | Elaboration |
B | Source |
C | Elaboration |
Preceding | Morpheme | Following | Usage | |
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1 | A | ても | ても-衝突するような結果 | |
2 | B | ほど[の関心しか] | C | ほど-動作や状態の程度 |
3 | B | [ほど]の[関心しか] | C | の-なんらかの関係(人間関係・数量関係・空間関係etc.)の基点 |
4 | B | [ほどの]関心[しか] | C | 注目(ちゅうもく) |
5 | B | [ほどの関心]しか | C | しか-否定(主格以外) |
Category | Effect |
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評価 (evaluation) | 大空襲後の惨状にあって、路上に広がった血痕という通常ならば人の注意を引く現象が、当たり前のこととして卑俗化されている。 |
イメジャリー・イメージ (imagery) | 路上の鮮血がまったく目立たないことを、路上に捨てられた紙屑という注意を引かない事物のイメージを用いて表す。 |