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「日本人は歴史の前ではただ運命に従順な子供であった」

Page Type Example
Example ID a1537
Author 坂口安吾
Piece 「堕落論」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 216

Text

この戦争をやった者は誰であるか、東条であり軍部であるか。そうでもあるが、然し又、日本を貫く巨大な生物、歴史のぬきさしならぬ意志であったに相違ない。日本人は歴史の前ではただ運命に従順な子供であったにすぎない。

Context Focus Standard Context
従順な子供 (日本人)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 子供 = 日本人 日本人=子
2 = 歴史 歴史=親

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A B は-一般的事物に対する判断の主題
2 B で[あったにすぎない] だ-断定・指定-連用形
3 B [で]あっ[たにすぎない] ある(ある)
4 B [であっ]た[にすぎない] た-過去-終止形
5 B [であった]に[すぎない] に-成り行く状態・結果
6 B [であったに]すぎ[ない] 過ぎる(すぎる)
7 B [であったにすぎ[ない] ない(ない)

Pragmatics

Category Effect
対照法・対照 (antithesis) 日本人を子供と矮小化して表現することで、対比的に、歴史を巨大な存在として示す。
含意法 (implication) 第二次大戦を起こしたものは、東條や軍部といった個別的な要素ではなくて、歴史の運命という大きな流れであるという認識を表す。
評価 (evaluation) 戦争の意志決定に加わった大人を含め、日本人全体を「子供」として矮小化する。