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「日本人は歴史の前ではただ運命に従順な子供であった」

Page Type Example
Example ID a1536
Author 坂口安吾
Piece 「堕落論」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 216

Text

この戦争をやった者は誰であるか、東条であり軍部であるか。そうでもあるが、然し又、日本を貫く巨大な生物、歴史のぬきさしならぬ意志であったに相違ない。日本人は歴史の前ではただ運命に従順な子供であったにすぎない。

Context Focus Standard Context
運命に に従順な (に従う)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 従順 = 無頓着 無意識=従順・柔順

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
擬人法 (personification) 「従順」という、一般的にヒトに対して用いる語を「運命」に用いる事で、運命を擬人化している。
寓意・アレゴリー (allegory) 擬人化によって、あたかも子供が大人(あるいは直前で述べられているような従わざるを得ない力をもつ「巨大な生物」)に行動を決められてしまうように政治家が戦争を始めてしまったのだという大きな隠喩構造が出来上がっている。
含意法 (implication) 「巨大な生物」とは、日本全体を指しており、政治家の独断が戦争を引き起こしたわけではないという含みが伝えられている。