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「秦蔵六だの竹源斎師など名前すら聞いたことがなく」

Page Type Example
Example ID a1507
Author 坂口安吾
Piece 「日本文化私観」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 167

Text

僕は日本の古代文化に就て殆んど知識を持っていない。ブルーノ・タウトが絶讃する桂離宮も見たことがなく、玉泉も大雅堂も竹田も鉄斎も知らないのである。況(いわ)んや、秦蔵六だの竹源斎師など名前すら聞いたことがなく、第一、めったに旅行することがないので、祖国のあの町この村も、風俗も、山河も知らないのだ。

Context Focus Standard Context
秦蔵六だの竹源斎師など 名前すら聞いたことがなく (名前くらいしか聞いたことがなく)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 未知 ←→ 既知 未知<-->感知

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
修辞的否定 (rhetorical negation) 名前を聞いたことがないはずの人物の名前を、語り手が実際には、熟知していることを暗示する。
挙例法・例証・範例 (example) 名前を聞いたことがないはずの人物の名前を、直前にフルネームで列挙している。
評価 (evaluation) 実際には知っていることを知らないと述べることで、これを知っていることには価値がないと考える語り手の価値観がほのめかされている。