目次

「二苦労や七苦労で原書がお読めになるところまで行けない」

Page Type Example
Example ID a1471
Author 坂口安吾
Piece 「勉強記」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 140

Text

先生はやさしい心のお方だから、時々按吉をいたわって下さるのである。『いまに原書が読めるようにおなりでしょう』先生はにこにこと仰有るのだった。『もうひと苦労でございます』しかし按吉にしてみると、六時間も七時間も辞書をめくった挙句の果に、ようやくたったひとつの単語を突きとめて凱歌をあげる程だったから、この先二苦労や七苦労で原書がお読めになるところまで行けないことを知っていた。

Context Focus Standard Context
お読めになる (読める)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
反語的緩和 (charientismus) 先生の話し方の丁寧さを皮肉的に捉えている。敬体を使うべき「先生」の台詞を暗に示す。ただし、先生の台詞は「いまに原書が読めるようにおなりでしょう」であって「お読めになる」とは言っていない。