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「目がくらむ。スポーツだ」

Page Type Example
Example ID a1467
Author 坂口安吾
Piece 「勉強記」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 139-140

Text

按吉はどこでどうして手に入れたかイギリス製の六十五円もする梵語辞典を持っていた。日本製の梵語辞典というものはないのである。これを十分も膝の上でめくっていると、膝関節がめきめきし、肩が凝って息がつまってくるのであった。これを五時間ものせている。目がくらむ。スポーツだ。探す単語はひとつも現れてくれないけれども、全身快く疲労して、大変勉強したという気持になってしまうのである。

Context Focus Standard Context
スポーツ (辞書を引くこと)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 スポーツ = 閲読 閲読=スポーツ

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
定義 (definition) 精神的な満足感を伴いながら全身が快く疲労するという共通点を足がかりにして、イギリス製の梵語辞典の閲読を、単なる知的行為ではなく、スポーツと同じく身体全体を使う肉体的行為として定義的に特徴づけている。後続の「全身快く疲労して、大変勉強したという気持になってしまう」という記述は、梵語辞典の閲読がどういう点においてスポーツと呼べるのか、その解説になっている。