目次

「所蔵という精神がなかったが、所蔵していたものといえば高貴な女先生の幻で」

Page Type Example
Example ID a1388
Author 坂口安吾
Piece 「風博士」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 112

Text

フンドシを壁にぶら下げておくのは私の整頓の方法で、私には所蔵という精神がなかったので、押入は無用であった。所蔵していたものといえば高貴な女先生の幻で、私がそのころバイブルを読んだのは、この人の面影から聖母マリヤというものを空想したからであった。

Context Focus Standard Context
所蔵して (いだいて) いたものといえば高貴な女先生の幻で

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 所蔵する = 思い描く 念頭に置く=蔵する

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
擬物法・結晶法 (hypostatization) イメージを「持つ」のではなく、「所蔵する」という表現を代置することで、文字通りの物的所有の意味が喚起される。
対照法・対照 (antithesis) 物理的に「所蔵する」という行為と、心理的に幻を「抱く」という行為を対比する。