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「噛んでも噛んでも三で十を割るごとく」

Page Type Example
Example ID a1327
Author 夏目漱石
Piece 「吾輩は猫である」
Reference 『夏目漱石』
Pages in Reference 247-248

Text

美学者迷亭先生がかつて吾輩の主人を評して君は割り切れない男だといった事があるが、なるほどうまい事をいったものだ。この餅も主人と同じようにどうしても割り切れない。噛んでも噛んでも、三で十を割るごとく尽未来際方のつく期はあるまいと思われた。

Context Focus Standard Context
噛んでも噛んでも、 三で十を割る () ごとく尽未来際方のつく期はあるまい

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 算術 = 咀嚼 咀嚼=国語科

Grammar

Construction AでもBごとくC
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Elaboration
B Source
C Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A でも C ても-仮定の逆説条件
2 B ごとく C ごとし-類似-連用形

Pragmatics

Category Effect
人物描写 (description of a character) 主人の性格の割り切れなさが尋常のものではなく際限のないものであることを表現する。
アナロジー・類推 (analogy) 主人の性格の割り切れなさが尋常のものではなく際限のないものであることを、3で1を割ることで作られる循環小数に擬える。
駄洒落 (-) 性格=食べものとして、「割り切る」と「かみ切る」の洒落を作っている。
兼用法・異義兼用 (syllepsis) 性格=数字として、「割り切る」の意味を二重に用いている。