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「餅は魔物だな」

Page Type Example
Example ID a1325
Author 夏目漱石
Piece 「吾輩は猫である」
Reference 『夏目漱石』
Pages in Reference 247

Text

最後にからだ全体の重量を椀の底へ落すようにして、あぐりと餅の角を一寸ばかり食い込んだ。このくらい力を込めて食い付いたのだから、大抵なものなら噛み切れる訳だが、驚いた! もうよかろうと思って歯を引こうとすると引けない。もう一辺噛み直そうとすると動きがとれない。餅は魔物だなと疳づいた時はすでに遅かった。

Context Focus Standard Context
餅は 魔物 () だな

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 魔物 = もち=魔

Grammar

Construction AはBだ
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A B は-一般的事物に対する判断の主題
2 B だ-断定・指定-終止形

Pragmatics

Category Effect
カテゴリー転換 (-) なかなか噛み切れず、さらに歯が抜けてしまうほど粘着力の強い餅を魔物と表象する。
心理描写 (psychological-description) 餅を魔物と表象することで、当該の餅を噛み切れないことに対する焦燥感などを表現する。
過大誇張 (auxesis) 食べものである餅を、人知を超えた脅威である魔物として大げさに表現している。
ユーモア (humour) 餅を魔物として表現することで、滑稽感を形成する。