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「性の悪い牡蠣のごとく書斎に吸い付いて」

Page Type Example
Example ID a1316
Author 夏目漱石
Piece 「吾輩は猫である」
Reference 『夏目漱石』
Pages in Reference 229

Text

彼は性の悪い牡蠣のごとく書斎に吸い付いて、かつて外界に向って口を開いた事がない。

Context Focus Standard Context
性の悪い牡蠣 (彼)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 かき = 彼=軟体動物

Grammar

Construction AはBのごとくCにD
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source
C Target
D Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A D は-既出のものに関する判断の主題
2 B の[ごとく] D の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
3 B [の]ごとく D ごとし-類似-連用形
4 C D に-空間的な場所

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 書斎に閉じこもる様子を岩場にへばりつく牡蛎のイメージで表現する。
人物描写 (description of a character) 牡蠣を「性の悪い」と指定することで、岩場から離れようとしない性質を付与することで、類比関係の対応項である人物に対してもなかなか書斎から出ないという属性を付加する。
アナロジー・類推 (analogy) 岩にへばりつく牡蠣と書斎に閉じこもる人物は、ある場所にとどまり続けるという点で共通し、その共通点を媒介にして岩:書斎、牡蠣:人の類比関係を形成する。