目次

「白いシーツのように見えていた」

Page Type Example
Example ID a1286
Author 梶井基次郎
Piece 「ある崖上の感情」
Reference 『梶井基次郎』
Pages in Reference 93-94

Text

その部屋のなかには白い布のような塊りが明るい燈火に照らし出されていて、なにか白い煙みたようなものがそこから細くまっすぐに立ち騰(のぼ)っている。そしてそれがだんだんはっきりして来るんですが、思いがけなくその男がそこに見出したものはベッドの上にほしいままな裸体を投げ出している男女だったのです。白いシーツのように見えていたのがそれで、静かに立ち騰っている煙は男がベッドで燻らしている葉巻の煙なんです。

Context Focus Standard Context
白いシーツ 男女

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 シーツ = 男女 男女=毛布

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Source
B Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A の[ように見えていたのが] B の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
2 A [の]ように[見えていたのが] B 様-類似-連用形
3 A [のように]見えて[いたのが] B 判ずる・判じる(はんずる・はんじる)
4 A [のように見えて]い[たのが] B 居る(いる)
5 A [のように見えてい]た[のが] B た-過去-連体形
6 A [のように見えていた]の[が] B の-体言と同じ資格
7 A [のように見えていたの]が B が-主語

Pragmatics

Category Effect
人物描写 (description of a character) ベッドの上の一組の男女の姿が視点人物にどのように見えていたかを説明する。
擬物法・結晶法 (hypostatization) 視点人物にとってベッドの上にいた男女がシーツに見えたことを表現する。
明晰 (clarity) 視点人物がどのようにベッドの上の男女を見ていたかという視覚内容を分かりやすくするために用いている。