目次

「加茂の森が赤い鳥居を点じていた」

Page Type Example
Example ID a1198
Author 梶井基次郎
Piece 「ある心の風景」
Reference 『梶井基次郎』
Pages in Reference 292-293

Text

北には加茂の森が赤い鳥居を点じていた。その上に遠い山々は累(かさな)って見える。比叡山——それを背景にして、紡績工場の煙突が煙を立登らせていた。赤煉瓦の建物。ポスト。荒神橋には自転車が通り、パラソルや馬力が動いていた。

Context Focus Standard Context
加茂の森が赤い鳥居 を点じていた (に重なっていた)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 点じる = 重なる 重なる=点を打つ

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
風景描写 (scene-description) 遠景として賀茂の森を見ることで、森の暗さを下地として神社の鳥居の赤さが点描として映える様子を、「点じる」という動詞の持つ点性と光の投影(点火、点す)の特徴を用いて表現する。
主観化 (subjectification) 神社の赤い鳥居が映える様子を、暗い森を下地にして赤の絵の具を点で連ねたかのように、虚構変化的表現によって表している。