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「深夜の静けさは暈(かさ)となって街燈のぐるりに集まっていた」

Page Type Example
Example ID a1175
Author 梶井基次郎
Piece 「ある心の風景」
Reference 『梶井基次郎』
Pages in Reference 278

Text

喬(たかし)は彼の部屋の窓から寝静まった通りに凝視(みい)っていた。起きている窓はなく、深夜の静けさは暈(かさ)となって街燈のぐるりに集まっていた。

Context Focus Standard Context
(静けさ)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = 静けさ 静かさ=光

Grammar

Construction AはBとなってCにD
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source
C Target
D Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A D は-既出のものに関する判断の主題
2 B と[なって] D と-帰着点
3 B [と]なっ[て] D 変質する(へんしつする)
4 B [となっ]て D て-推移・連続
5 C D に-空間的な場所

Pragmatics

Category Effect
擬物法・結晶法 (hypostatization) 静けさという実際には知覚できない状態を、暗闇の中で唯一知覚可能な物体である街燈の光の中に認識する。
共感覚表現・共感覚的比喩 (synesthesia) 静けさという聴覚的な情報を、視覚的に知覚可能な街燈の光の中によって表現している。
イメジャリー・イメージ (imagery) 静けさという捉えどころのない状態を光という視覚的なイメージによって具象化する。