目次

「あたかも明方の寒い光が次第に暗の中にひろがるやうな朗な心もち」

Page Type Example
Example ID a1170
Author 芥川龍之介
Piece 「枯野抄」
Reference 『芥川龍之介』
Pages in Reference 306

Text

悲しみは元より説明を費すまでもない。が、その安らかな心もちは、あたかも明方の寒い光が次第に暗の中にひろがるやうな、不思議に朗な心もちである。

Context Focus Standard Context
明方の寒い光が次第に暗の中にひろがる () やうな…心もち

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source
C Elaboration
D Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A D は-既出のものに関する判断の主題
2 あたかも ような ちょうど(ちょうど)
3 B ような D 様-類似-連体形
4 C - D 統語関係
5 D で[ある] て-補助用言に連なる用法
6 D [で]ある ある(ある)

Pragmatics

Category Effect
心理描写 (psychological-description) 辛さと喜びを具備した情景を介して、師匠の死を前にした複雑な心理状態を描写している。
明晰 (clarity) 師匠の死という悲しみの中にある一方で、心には平静な感覚が広がっているという矛盾した心理を分かりやすい形で表現する。
イメジャリー・イメージ (imagery) 明け方の寒さの中に光が広がっていくという辛さと喜びを具備した情景を提示して、気持ちの具体的な状態を描いている。