目次

「どこか蝋(ろう)のやうな小さい顔」

Page Type Example
Example ID a1167
Author 芥川龍之介
Piece 「枯野抄」
Reference 『芥川龍之介』
Pages in Reference 306

Text

うす痘痕(いも)の浮んでゐる、どこか蝋(ろう)のやうな小さい顔、遥な空間を見据えてゐる、光の褪せた瞳の色、そうして頤にのびている、銀のやうな白い鬚(ひげ)――それが皆人情の冷さに凍てついて、やがて赴くべき寂光土(じゃっこうど)を、じっと夢みているやうに思はれる。

Context Focus Standard Context
蝋(ろう) (顔)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = 顔=蝋

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Source
B Elaboration
C Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 どこか ような ここ(ここ)
2 A の[ような] C の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
3 A [の]ような C 様-類似-連体形
4 B - C 統語関係

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 白さ・冷たさを有し、弾力性が無い蝋によって、肌の質感を表現する。
迫真法・活写法・現前化 (hypotyposis) 芭蕉の顔が白く冷たく強張っている様子を具体物の比喩によって明瞭に表現する。
人物描写 (description of a character) 顔色を比喩的に描写することによって、芭蕉が死に瀕している様子を表現する。