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「限りない人生の枯野の中」

Page Type Example
Example ID a1163
Author 芥川龍之介
Piece 「枯野抄」
Reference 『芥川龍之介』
Pages in Reference 303

Text

して見れば師匠の命終に侍しながら、自分の頭を支配してゐるものは、他門への名聞、門弟たちの利害、あるいはまた自分一身の興味打算――皆直接垂死の師匠とは、関係のない事ばかりである。だから師匠はやはり発句の中で、しばしば予想を逞くした通り、限りない人生の枯野の中で、野ざらしになったと云って差支えない。

Context Focus Standard Context
枯野 (人生)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 枯れ野 = 人生 人生=原野

Grammar

Construction AのB
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A B の-同格(同じ内容)

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 人生というものが、明るく楽しいものではなく侘しいものであるという評価を、枯野の荒涼とした情景を喚起することで表現する。
強調反復 (diacope) 小説の冒頭に掲載されている、芭蕉の辞世の句「旅に病むで夢は枯野をかけめぐる」に現れる「枯野」のイメージを強調する。
兼用法・異義兼用 (syllepsis) 芭蕉の辞世の句「旅に病むで夢は枯野をかけめぐる」に現れる「枯野」と対比して、人生自体を旅に、その終着点を枯野と捉えることで、芭蕉の句の味わいを深めている。
前景化 (foregrounding) 小説の冒頭に掲載されている、芭蕉の辞世の句「旅に病むで夢は枯野をかけめぐる」に現れる「枯野」のイメージを強調する。