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「満足と悔恨とはまるで陰と日向のやうに」

Page Type Example
Example ID a1157
Author 芥川龍之介
Piece 「枯野抄」
Reference 『芥川龍之介』
Pages in Reference 297

Text

そこに横はつてゐた老俳諧師の病みほうけた顔を眺めると、或満足と悔恨との不思議に錯雑した心もちを、嫌でも味はなければならなかつた。しかもその満足と悔恨とは、まるで陰と日向のやうに、離れられない因縁を背負つて、実はこの四五日以前から、絶えず小心な彼の気分を掻乱してゐたのである。

Context Focus Standard Context
陰と日向 (満足と悔恨)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 ひなた = 満足 満足=ひなた
2 = 悔恨 悔い=ひなた

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Target
C Source
D Source
E Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A B と-「〜と〜と」
2 B と[は] E と-「〜と〜と」
3 B [と]は E は-既出のものに関する判断の主題
4 まるで ように ちょうど(ちょうど)
5 C D と-「〜と〜と」
6 D の[ように] E の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
7 D [の]ように E 様-類似-連用形

Pragmatics

Category Effect
アナロジー・類推 (analogy) 満足と悔恨という背反的な感情が同時的に生起し、分離しがたいものであることを、日向があるから陰が生じるという陰と陽の相補的な関係に比することで表現する。