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「それはもう異国の旅行者の目と同じ」

Page Type Example
Example ID a1140
Author 坂口安吾
Piece 「石の思い」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 87

Text

父は幼い心を失っていた。然しそれは健康な人の心の姿ではない……洋画を見たり、登山趣味だの進歩的な社会運動だの、そういうものに好奇の目を輝やかせるようになったのだが、それはもうただ知らない異国の旅行者の目と同じことで、同化し血肉化する本当の素直さは失っている。

Context Focus Standard Context
それはもう ただ知らない異国の旅行者の目 父の目

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 旅行者 = 父母=旅行家

Grammar

Construction AはBと同じこと
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A B は-既出のものに関する判断の主題
2 B と[同じこと] と-内容指定
3 B [と]同じ[こと] 同じ(おなじ)
4 B [と同じ]こと 事(こと)

Pragmatics

Category Effect
アナロジー・類推 (analogy) 様々な趣味や運動に関わるも、一つのことに集中しきれない父の姿を、物珍しい異国の文物に目を輝かせながらも、そこに定住するわけではない旅行者の姿と並行的に捉える。
評価 (evaluation) いずれの事柄についても旅行気分でしか接することの出来ない父に対する浅はかさなどの評価を提示する。