目次

「不快な老人を知っていただけ」

Page Type Example
Example ID a1109
Author 坂口安吾
Piece 「石の思い」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 68

Text

これは私にとては今もって無関係の世界であり、父はともかく『家』として兄について考えておったが、私にとっては、父と子の関係はなかった。私にとっては、父のない子供より父が在るだけ父について無であり、ただ墨をすらせる不快な老人を知っていただけであった。

Context Focus Standard Context
墨をすらせる 不快な老人 を知っていた

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 老人 > 老>父母

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
心理描写 (psychological-description) 父親に対して心理的に距離があることを表している。
擬物法・結晶法 (hypostatization) 自分と父親の関係性という抽象的な性質を、距離を測ることのできるものとして表現する。
評価 (evaluation) 自分の父親を「老人」という一般的な括りで指示し、かつ「不快な」という形容を添えることで、「私」と父親に親子の情が無いという関係性の評価を与える。
変態法 (-) 自分の父親を、突然「老人」という一般的な括りに変更して指示している。