目次

「清浄にして白紙のごとく寛大な読者の『精神』」

Page Type Example
Example ID a1074
Author 坂口安吾
Piece 「FARCEに就て」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 45

Text

(…)悲劇も喜劇も道化も、なべて一様に芝居と見做(みな)し、これを創る『精神』にのみ観点を置き、あわせて、これを享受せらるるところの、清浄にして白紙のごとく、普(あまね)く寛大な読者の『精神』にのみ呼びかけやうとするものである。

Context Focus Standard Context
白紙 (読者の「精神」)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 白紙 = 精神 心=白紙

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Elaboration
B Source
C Elaboration
D Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A に[して] B に-成り行く状態・結果
2 A [に]し[て] B する(する)
3 A [にし]て B て-並列・列叙
4 B の[ごとく] C の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
5 B [の]ごとく C ごとし-類似-連用形
6 C D だ-断定・指定-連体形

Pragmatics

Category Effect
暗示引用 (allusion) どのような意見でも受け入れうるということを、白紙にどのような文字も書き込みうるということで喩えている。ロックの言葉として有名な「タブラ・ラーサ(白紙状態)」を踏まえていると考えられる。
呼びかけ法・頓呼法 (apostrophe) 読者の心を、いまだ何も書き込まれていない白紙とすることで、これから自身が開陳する文学論を虚心に受け止めてほしいという認識を表す。