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「むしろ空惚(そらとぼ)けて別人を装うもののごとく」

Page Type Example
Example ID a1064
Author 谷崎潤一郎
Piece 「秘密」
Reference 『谷崎潤一郎』
Pages in Reference 54

Text

思わず嘲(あざけ)るような瞳を挙げて、二階を仰ぎ視(み)ると、むしろ空惚(そらとぼ)けて別人を装うもののごとく、女はにこりともせずに私の姿を眺めていたが、別人を装うても訝(あや)しまれぬくらい、その容貌は夜の感じと異っていた。

Context Focus Standard Context
空惚けて別人を装う (にこりともせずに私の姿を眺めていた)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 別人 = 女=他人

Grammar

Construction AのごとくB
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Source
B Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A の[ごとく] B の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
2 A [の]ごとく B ごとし-類似-連用形

Pragmatics

Category Effect
評価 (evaluation) 夜に出合った女の艶めかしさが、日中に見ると失われているという発話者の印象を表現する。
カテゴリー転換 (-) 夜に出合った女の艶めかしさが、日中に見ると失われているという発話者の印象を、彼女が別人を装うという意志的な行為とすることで際立たせる。