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「薫りと体温が蒸すように罩(こも)っていた」

Page Type Example
Example ID a1051
Author 谷崎潤一郎
Piece 「秘密」
Reference 『谷崎潤一郎』
Pages in Reference 45

Text

疑いもなく私の隣りには女が一人乗っている。お白粉の薫(かお)りと暖かい体温が、幌の中へ蒸すように罩(こも)っていた。

Context Focus Standard Context
薫りと体温が 蒸す 罩って

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 蒸す = こもる 満ちる=蒸す

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Elaboration
B Source
C Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A C が-主語
2 B ように C 様-類似-連用形
3 C て[いた] て-補助用言に連なる用法
4 C [て]い[た] 居る(いる)
5 C [てい]た た-過去-終止形

Pragmatics

Category Effect
迫真法・活写法・現前化 (hypotyposis) 密閉空間内の事象である「蒸す」を引き合いに出し、香りや温かさが容器内に充満することを想起させる。それにより、密閉空間にて女の匂いと温かさが密接に感じられることを表現する。