目次

「人間の顔と云うよりも、男の心を誘惑する甘味ある餌食(えじき)であった」

Page Type Example
Example ID a1043
Author 谷崎潤一郎
Piece 「秘密」
Reference 『谷崎潤一郎』
Pages in Reference 40

Text

顔面のすべての道具が単に物を見たり、嗅いだり、聞いたり、語ったりする機関としては、あまりに余情に富み過ぎて、人間の顔と云うよりも、男の心を誘惑する甘味ある餌食(えじき)であった。

Context Focus Standard Context
餌食 人間の顔

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 えじき = 顔=飼料

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Elaboration
C Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A と[いうよりも] C と-内容指定
2 A [と]いう[よりも] C 言う(いう)
3 A [という]より[も] C より-比較対象の引合い
4 A [というより]も C も-強調
5 B - C 統語関係
6 C で[あった] て-補助用言に連なる用法
7 C [で]あっ[た] ある(ある)
8 C [であっ]た た-過去-終止形

Pragmatics

Category Effect
人物描写 (description of a character) 女の顔が視覚や聴覚といった知覚機能を有するだけの感覚器官ではなく、男の欲情をそそる機能を持つものであることを表現する。
共感覚表現・共感覚的比喩 (synesthesia) 女の顔の視覚や聴覚によるイメージを、餌食という味覚のイメージによって表現する。