目次

「甥こそいい面(つら)の皮だ」

Page Type Example
Example ID a1013
Author 夏目漱石
Piece 「坊っちゃん」
Reference 『夏目漱石』
Pages in Reference 23

Text

清(きよ)の甥というのは存外結構な人である。おれが行ゆくたびに、居(お)りさえすれば、何くれと款待(もて)なしてくれた。清はおれを前へ置いて、いろいろおれの自慢を甥に聞かせた。(…)独りで極(き)めて一人ひとりで喋舌しゃべるから、こっちは困(こ)まって顔を赤くした。(…)甥は何と思って清の自慢を聞いていたか分らぬ。ただ清は昔風(むかしふう)の女だから、自分とおれの関係を封建(ほうけん)時代の主従(しゅじゅう)のように考えていた。自分の主人なら甥のためにも主人に相違ないと合点(がてん)したものらしい。甥こそいい面(つら)の皮だ。

Context Focus Standard Context
甥こそ いい面の皮 (動じない性格)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 面の皮 > 態度 皮>表情

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
イディオム・慣用表現 (idiom) 無神経で繊細さや心配りのない様を表す言い回しとして慣習化した「面の皮」を用いている。
皮肉・反語・アイロニー (irony) 否定的な評価を表す慣用句である「面の皮(が厚い)」を肯定の形容詞「いい」で修飾することで、清の甥に対する皮肉な態度を示す。
評価 (evaluation) 否定的な評価を表す慣用句である「面の皮(が厚い)」を肯定の形容詞「いい」で修飾することで、清の甥の無神経さを揶揄する。