目次

「パノラマの絵のように、表ばかりで裏のない景色」

Page Type Example
Example ID a0865
Author 谷崎潤一郎
Piece 「秘密」
Reference 『谷崎潤一郎』
Pages in Reference 26

Text

私はその時まで、たびたび八幡様へお参りをしたが、未だ嘗(かつ)て境内の裏手がどんなになっているか考えて見たことはなかった。いつも正面の鳥居の方から社殿を拝むだけで、恐らくパノラマの絵のように、表ばかりで裏のない、行き止まりの景色のように自然と考えていたのであろう。

Context Focus Standard Context
パノラマの絵 景色 表ばかりで裏のない、行き止まりの

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = 景色 景=絵

Grammar

Construction AのようにB-C
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Source
B Elaboration
C Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A の[ように] B の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
2 A [の]ように B 様-類似-連用形
3 B - C 統語関係

Pragmatics

Category Effect
心理描写 (psychological-description) 鳥居から社殿を拝むのが習慣であり、その裏を見たことが無い事を、横方向への広がりを持つが奥行き(裏)を感じさせないパノラマを引き合いに出すことでわかりやすく描いている。
対照法・対照 (antithesis) パノラマを引き合いに出すことで、横方向の広がりと奥行きとを対比的に位置づけている。
象徴・シンボル (symbol) 横方向の広がりがあるが、その一方で奥行きに欠けるものの代表例として、パノラマの絵が利用されている。