目次

「われとわが心の底に潜んで居た何物かを、探りあてたる心地であった」

Page Type Example
Example ID a0853
Author 谷崎潤一郎
Piece 「刺青」
Reference 『谷崎潤一郎』
Pages in Reference 17

Text

それを見せられた娘は、われとわが心の底に潜んで居た何物かを、探りあてたる心地であった。

Context Focus Standard Context
われとわが心の底に潜んで居た何物かを探りあてたる (秘めたる思いに気が付く)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 探り当てる = 気が付く 気が付く=明かす

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Elaboration
B Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A B は-既出のものに関する判断の主題
2 B 心地[であった] 気持ち(きもち)
3 B [心地]で[あった] て-補助用言に連なる用法
4 B [心地で]あっ[た] ある(ある)
5 B [ここちであっ]た た-過去-終止形

Pragmatics

Category Effect
明晰 (clarity) 男が女の美しさの養分となる絵を見せられた女性が、その絵を見て自分自身のなかにある悪女としての素質に気づいたことを、心を地下空間として、素質を底に眠るものとして表象し、それらを探り当てるという架空的な事態になぞらえることで具体的に表現する。
心理描写 (psychological-description) 「底」のある空間的な構造になぞらえることで、心のあり方を描写している。