目次

「あたかも漁師町で海苔を乾すような工合に、長方形の紙が行儀よく板に並べて立てかけてある」

Page Type Example
Example ID a0844
Author 谷崎潤一郎
Piece 「吉野葛」
Reference 『谷崎潤一郎』
Pages in Reference 270

Text

あたかも漁師町で海苔を乾すような工合に、長方形の紙が行儀よく板に並べて立てかけてあるのだが、その真っ白な色紙を散らしたようなのが、街道の両側や、丘の段々の上などに、高く低く、寒そうな日にきらきらと反射しつつあるのを眺めると、彼は何がなしに涙が浮かんだ。

Context Focus Standard Context
漁師町で海苔を乾す 長方形の紙が行儀よく板に並べて

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 のり = 紙=のり
2 乾かす = 並ぶ 並ぶ=乾く

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Source
B Target
C Elaboration

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 あたかも A ちょうど(ちょうど)
2 A ような[具合に] B 様-類似-連体形
3 A [ような]具合に B あんばい(あんばい)
4 B C が-主語

Pragmatics

Category Effect
明晰 (clarity) 街中に長方形の紙が並べてある様子を、紙と海苔の薄さの共通性を媒介にして、漁師町で海苔を干すというより想起しやすい情景に託してわかりやすく表現する。
風景描写 (scene-description) 漁師町で干される海苔を想起させることで、長方形の紙の並べられ方を描いている。