目次

「指のさきちぎれるようにて」

Page Type Example
Example ID a0841
Author 谷崎潤一郎
Piece 「吉野葛」
Reference 『谷崎潤一郎』
Pages in Reference 266

Text

面白いのは、紙を粗末にせぬようにと、長々と訓戒を述べて、『此かみもかかさんとおりとのすきたる紙なりかならずかならずはだみはなさず大せつにおもうべし其身はよろずぜいたくにくらせどもかみを粗末にしてはならぬぞやかかさんもおりとも此かみをすくときはひびあかぎれに指のさきちぎれるようにてたんとたんと苦ろういたし候』と、二十行にも亘って書いていることである。

Context Focus Standard Context
ちぎれる (痛い) 指のさき

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 ちぎれる > 痛い ちぎれる>痛い

Grammar

Construction AはBようにてC
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source
C Elaboration

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A C は-既出のものに関する判断の主題
2 B よう[にて] C 様-用法未定義
3 B [よう]に[て] に-変化・帰着させる状態
4 B [ように]て て-並列・列叙

Pragmatics

Category Effect
明晰 (clarity) 指がちぎれるという生々しいイメージを用いることで、垢切れによる指の具体的な痛みを表現する。
誇張法 (hyperbole) あかぎれによって生じる極端な身体の変化を架空的に提示することで、あかぎれによる指の痛みの強さを表現する。
イメジャリー・イメージ (imagery) 指がちぎれてしまう様を想起させることで、ひび・赤切れの痛みが身体的に印象づけられる。