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「果実は、あたかもゴムの袋のごとく膨らんで」

Page Type Example
Example ID a0837
Author 谷崎潤一郎
Piece 「吉野葛」
Reference 『谷崎潤一郎』
Pages in Reference 242

Text

円錐形の、尻の尖った大きな柹(かき)であるが、真っ赤に熟し切って半透明になった果実は、あたかもゴムの袋のごとく膨らんでぶくぶくしながら、日に透かすと琅玕の珠のように美しい。

Context Focus Standard Context
ゴムの袋 膨らんで

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = つつじ=袋

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source
C Elaboration

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A C は-既出のものに関する判断の主題
2 あたかも B ちょうど(ちょうど)
3 B の[ごとく] C の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
4 B [の]ごとく C ごとし-類似-連用形

Pragmatics

Category Effect
明晰 (clarity) 丸みと弾力ともに兼ね備えた事物であるゴムの袋を引き合いに出すことで、当該の熟柿の形状や質感を分かりやすく表現する。
イメジャリー・イメージ (imagery) 自然物である熟れた柿に、人工物であるゴム袋が典型的に備える独特の弾力性や均質的な丸みが感じられる。
描写 (description) ゴム袋になぞらえることで、当該の柿の性質を描いている。