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「台棟と庇だけが、海中の島のごとく浮いて見える」

Page Type Example
Example ID a0836
Author 谷崎潤一郎
Piece 「吉野葛」
Reference 『谷崎潤一郎』
Pages in Reference 236

Text

桑が丈高く伸びているので、遠くから望むと、旧家らしい茅葺きの台棟と瓦葺きの庇だけが、桑の葉の上に、海中の島のごとく浮いて見えるのがいかにも床しい。

Context Focus Standard Context
海中の島 台棟と庇 浮いて

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = ひさし いらか=島

Grammar

Construction AがBのごとくC
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source
C Elaboration

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A C が-主語
2 B の[ごとく] C の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
3 B [の]ごとく C ごとし-類似-連用形

Pragmatics

Category Effect
誇張法 (hyperbole) 桑の葉の茂りを海と見立てることで、そこに隣接して存在する庇に、海という背景のなかに浮かぶ島と同様の際立ちを感じさせる。
明晰 (clarity) 海と島の関係をもとにして、旧家と周囲の風景との関係がわかりやすく表現されている。
風景描写 (scene-description) 海に浮かぶ島のイメージをもとに、遠くから眺めたときの旧家周辺の風景が描かれている。