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「葉が、金粉のようにきらめきつつ水に落ちる」

Page Type Example
Example ID a0835
Author 谷崎潤一郎
Piece 「吉野葛」
Reference 『谷崎潤一郎』
Pages in Reference 234

Text

『繚乱』と云う言葉や、『千紫万紅』と云う言葉は、春の野の花を形容したものであろうが、ここのは秋のトーンであるところの『黄』を基調にした相違があるだけで、色彩の変化に富むことはおそらく春の野に劣るまい。そうしてその葉が、峰と峰との裂け目から渓合(たにあ)いへ溢れ込む光線の中を、ときどき金粉のようにきらめきつつ水に落ちる。

Context Focus Standard Context
金粉 きらめきつつ

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 金粉 = 葉=粉体

Grammar

Construction AがBのようにC-D
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source
C Elaboration
D Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A D が-主語
2 B の[ように] C の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
3 B [の]ように C 様-類似-連用形
4 C - D 統語関係

Pragmatics

Category Effect
明晰 (clarity) 紅葉が谷へと落ちながら陽光を反射して煌めいている様子を、金粉の煌めきを媒介にすることで視覚的にわかりやすく表現する。
イメジャリー・イメージ (imagery) 細かな粒の集合である金粉を想起させることで、落ちる葉の小ささや繊細さを感じさせる。
風景描写 (scene-description) 金粉の煌めきを引き合いに出すことで、落ちていく葉の輝きを描いている。