目次

「彼は滑りすぎる車のように、実にだらしなく好機嫌になった」

Page Type Example
Example ID a0825
Author 坂口安吾
Piece 「村のひと騒ぎ」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 39

Text

彼は嬉しさのあまり身体の自由がきかなくなって、滑りすぎる車のように、実にだらしなく好機嫌になったのである。

Context Focus Standard Context
滑りすぎる車

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = 彼=車

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source
C Elaboration
D Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A D は-既出のものに関する判断の主題
2 B の[ように] C の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
3 B [の]ように C 様-類似-連用形
4 実に C 全く(まったく)
5 C - D 統語関係
6 D に[なったのである] に-成り行く状態・結果
7 D [に]なっ[たのである] 変質する(へんしつする)
8 D [になっ]た[のである] た-過去-連体形
9 D [になった]の[である] の-「〜のだ」
10 D [になったの]である だ-断定・指定-終止形

「だらしなく」をElaborationとした。

Pragmatics

Category Effect
誇張法 (hyperbole) 滑りすぎる車というコントロールが効いていない事物になぞらえることで、上機嫌となりその嬉しさを村の人々に言いふらし始めるという肉体的・精神的に制御がきいていない様子が際立たせられている。
人物描写 (description of a character) 制御できなくなった車になぞらえることによって、好機嫌な「彼」の様子を描いている。