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「人名や地名は林間の焚火の煙のように、逸し去っている」

Page Type Example
Example ID a0747
Author 幸田露伴
Piece 「観画談」
Reference 『幸田露伴』
Pages in Reference 100

Text

ずっと前の事であるが、或人から気味合の妙な談を聞いたことがある。そしてその話を今だに忘れていないが、人名や地名は今は既に林間の焚火の煙のように、何処か知らぬところに逸し去っている。

Context Focus Standard Context
林間の焚火の煙 人名や地名 何処か知らぬところに逸し去っている

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = 人名 人名=灰
2 = 地名 国号=灰

Grammar

Construction AはBのようにC
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source
C Elaboration

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A C は-既出のものに関する判断の主題
2 B の[ように] C の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
3 B [の]ように C 様-類似-連用形

Pragmatics

Category Effect
擬物法・結晶法 (hypostatization) 昔の話について、詳細な固有名についての記憶が朧となっていることを、煙という物理現象として捉え、そのつかみ所のない様によって、記憶の朦朧としている様を表現する。
明晰 (clarity) 「林間の焚火」と煙が立ち上る状況を具体化することで、煙が木々に紛れるように、記憶が不確かになっている様子を強調する。