目次

「滴る水珠は夕立の後かと見紛うばかり」

Page Type Example
Example ID a0739
Author 幸田露伴
Piece 「太郎坊」
Reference 『幸田露伴』
Pages in Reference 44845

Text

庭は一隅の梧桐(あおぎり)の繁みから次第に暮れて来て、ひょろ松檜葉などに滴る水珠は夕立の後かと見紛うばかりで、その濡色に夕月の光の薄く映ずるのは何とも云えぬすがすがしさを添えている。

Context Focus Standard Context
夕立の後 水珠

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 夕立 = 水珠 水滴=にわか雨

Grammar

Construction AはBかと見紛う
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A は-既出のものに関する判断の主題
2 B か[と見紛う] か-推定
3 B [か]と[見紛う] と-内容指定
4 B [かと]見紛う まがう・まごう(まがう・まごう)

Pragmatics

Category Effect
過大誇張 (auxesis) 大量の雨をもたらす夕立が来たという仮想的な事態を提示することで、庭の草樹に付着した露の量が並大抵ではないことを表現する。
イメジャリー・イメージ (imagery) 夕立の後の草木の生き生きとしたイメージを用いて、庭の瑞々しさを表している。